-β(ベータ)遮断薬やカルシウム拮抗薬による心房細胞治療-


β(ベータ)遮断薬やカルシウム拮抗薬による心房細胞治療

抗不整脈薬が中心の「心房細動」治療

心房細動は、心臓上部の心房が不規則に震える不整脈のことです。心拍数も増え、1分間に350回(健康人は70回ほど)以上になることもあります。

心房細動には以下2種類があります。

1.不整脈が1週間以内で治まる「発作性心房細動」

2.1週間を超える「慢性心房細動」

症状は、発作性心房細動が胸のドキドキ、めまい、慢性心房細動が息切れ、倦怠感などです。心房の血液がよどみ、血液の塊(血栓)ができて、脳に飛び、脳梗塞を引き起こすこともあります。患者数は70歳以上の高齢者を中心に70万人以上といわれています。

心房細動の薬物治療は、これまで、不整脈を抑えるとされる抗不整脈薬が中心に置かれ、2001年の診療指針も、その考え方を踏まえて作成されました。


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治療の成績が良い「心拍数を下げる」治療

治療には、もう一つ異なる方法があります。心房細動を抑えることはあきらめて、高血圧治療で使われるβ(ベータ)遮断薬やカルシウム拮抗薬などを服用し、速くなった心拍数を下げる治療です。

抗不整脈薬による治療の方が成績が良いと思われていましたが、そうではありませんでした。2002年の米国研究では、両治療の死亡率は統計的に同じで、どちらかと言うと、心拍数を下げる治療の方が成績が良いことが分かりました。

2008年の新指針の作成者の一人、心臓血管研究所付属病院(東京・六本木)研究本部長(循環器内科)の山下武志さんは「抗不整脈薬を使っても、実際には不整脈を抑えるのは難しいです。また、抗不整脈薬の一部に新たに別の不整脈を起こすものがあり、それが影響したのかもしれません」と解説します。

新指針では、抗不整脈薬に比べて副作用が少ないβ遮断薬などの治療を評価しています。一方、症状が強い患者さんに対しては、抗不整脈薬の効果が大きいとしています。この改訂に沿って、山下さんは自覚症状が軽い患者を中心に、β遮断薬などによる治療を行っています。

心房細動の治療には薬による治療以外に、足の付け根などから先端に電極がついたカテーテル(細い管)を心臓に入れて、電気を流して不整脈を起こす余分な信号の通路を焼き切る心筋焼灼術(カテーテル・アブレーション)もあります。これは、薬が効かず、症状が強い患者さんに行われます。

2008年の新指針で重要視されているのは、心房細動によって起きる脳梗塞の予防です。

その危険度は、以下の5項目の有無が影響します。

1.心不全

2.高血圧

3.年齢(75歳以上)

4.糖尿病

5.脳梗塞や一過性脳虚血発作(一時的に脳血流が障害される病気)などの病歴

5だけ2点で、ほかは1点として合計しますと、点数が高いほど発病率が高くなります。

新指針では2点以上の場合、血栓ができにくくするワーファリンの服用を勧めます。1点なら患者と医師の意向で決め、0点なら服用せずに経過観察としました。

心房細胞による脳梗塞を予防する薬としては、ワーファリン以外に、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(商品名プラザキサカプセル)が2011年に承認されました。


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関係医療機関

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